two2miのブログ

とあるSIerで働いているネットワークエンジニアのブログです。お仕事のことは書けないので、ほぼほぼ参加した勉強会やセミナーのメモになりそうです。

2019/10/27 妊娠・出産・子育てをめぐる こころの健康を考えるII

先日、埼玉県で実施している妊娠・出産・子育てに関する市民講座に行ってきました。初めて知ったことも多かったのでブログにまとめてみようと思います。 ※当日の講演の中ではなく、あとで私が調べたものは(補足)と記載します。また、医療系の内容のため参照先は大学などの硬めなものが多いですがご了承下さい。   jps-saitama.jp

 

はじめに

妊娠・出産、子育てにおける母親への影響について知ることが大事。

  • 産後うつなど。
  • 母親の産後1年間の死亡原因の一位は自殺

子どもの心の発達では、最早期の母子のアタッチメント(情緒的結びつき)が最重要

妊娠・授乳の薬の服用について

  • 安全と思われがちな漢方薬でも妊婦に投与しないほうがよいとの表現がある。
  • 何を参考にしたらよいか。

1.国立成育医療研究センター、日本産婦人科学会ガイドライン(前者は市民向け、後者は医療従事者向け) www.ncchd.go.jp www.jsog.or.jp

2.参考になる本(どちらも医療者向け)

実践 妊娠と薬 第2版  ?10,000例の相談事例とその情報

実践 妊娠と薬 第2版 ?10,000例の相談事例とその情報

薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳

薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳

基調講演:赤ちゃん時代の体験が大人の心に与える影響

  • 少子化で子供の数は減っているのに、子育ての相談の数は増えている
  • フロイト、成人の精神疾患の発症要因として、幼児期のトラウマや心理的葛藤を想定。この頃(19世紀〜20世紀前半)にやっと子どもは無垢なだけでなく、感情や欲求があると考えられてきた。
  • ルネ・スピッツによる情緒的剥奪についての研究。孤児の研究が発展する。
  • ジョン・ボウルビーは、アタッチメント理論(愛着理論)を提唱した
    • 子供が不安になったときに、親を求めて近づく行動をアタッチメントとよんだ。乳幼児期のアタッチメントの関係が安定していると、大人になってからの対人関係も安定すると考えた。
  • ネグレクト(養育放棄)は、虐待と同じかそれ以上に子どもの心身の発達を阻害する。
  • 統合失調症は先天的要素と後天的要素の複合で発症する。先天的要素も1つの遺伝子だけでなく複数の遺伝子が関わって発症する。
  • 幼児期の記憶は「手続き記憶」の領域に記憶されていて「身体が覚えている」。悪い記憶も身体が覚えてしまう。

(補足) アタッチメント理論についてざっと調べましたが、養育する人間(母親でなくてもよい)との信頼関係の形成が重要であるということのようです。※接触は信頼関係の形成における手段であり目的ではない。また安全基地という表現も見られ、子供は安全な場所から徐々に探索をすることで、様々なことを学んでいくようです。

www.fun.ac.jp

asb.brain.riken.jp

シンポジスト1:妊娠・出産とメンタルヘルス 産科医の立場から

  • DSM-5という医者向けの書籍でも、周産期(妊娠22週から出生後7日未満までの期間)の抑うつは1ページくらいしか言及されていない。
  • 女性の3~6%が妊娠中〜産後に抑うつが見られた(帝王切開とおよそ同じ割合とのこと)
    • (補足)10〜15%という記事もあり、珍しいものではないという認識が必要。
  • 妊産婦死亡率の変遷
    • 自宅分娩→助産所→診療所→病院での分娩にシフトしていっている。高度な医療が受けられるようになったため妊婦死亡率は減少している。
    • 東京都における妊産婦の死亡数の年次推移(10年間)
      • 10年間で妊産婦(産後1年まで)の異常死89例中63例が自殺
  • 妊産婦の身体的管理は一定水準に達してきている。精神面でのケアに注力して取り組む時期
  • 日本産婦人科医会のMCMC認定研修会で医者向けのeラーニングもしている
  • 妊産婦への対応の基本
    • 傾聴と共感(問題解決ではなく気持ちの理解を優先)
    • 言ってはいけない言葉。
      • 頑張ればなんとかなる。昔は〇〇だったのになどの責任感を煽る言葉。
  • 支援が必要な妊産婦のスクリーニングと多数のステークホルダーとの共通言語としてアンケートと質問表を活用
  • 産婦人科と精神科の協調を強化していくべき

(補足) 2016年の資料ですが、周産期におけるメンタルヘルスケアのものがありました。 厚生労働省 「周産期医療体制のあり方に関する検討会」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000134649.pdf

 

シンポジスト2:周産期メンタルヘルスケアにおける助産師の役割

  • 社会構造の変化により、育児不安を抱えて子育てを行っている母親も多い
  • 早期に妊婦に関わることのできる医療機関が周産期メンタルヘルスケアに関わる重要性
  • 周産期のうつ病好発時期に、うつ病の「病状」と「リスク因子」をスクリーニングし、ケアを提供することが重要
  • スクリーニングをしてどういったサポートをしていくのか。早期発見、早期治療が大切
  • 産後よく耳にする言葉
    • 赤ちゃんの体重増加が心配(成長していない気がする
    • 母乳が足りない気がする
      • こういった言葉は身体的問題ではなく精神的問題が起因のことがある
  • メンタルヘルスケアマイルストーンは妊娠期、入院中、産後2週間、産後4週間、(産後6週間)、産後3ヶ月
  • EPDSなどのスクリーニングツールで状況をチェックする
  • 入院中に問題がなくても、産後に不安定になる場合もある。
  • 産後3ヶ月でうつ病を発症しなければそれ以降で発症する可能性は少なくなる
  • メンタルクリニックと共有すべき内容(助産師がメンタルクリニックに紹介状を書くときの内容)
    • 妊娠期の患者の様子
    • 紹介者が心配だと思った内容
  • 夫婦間のパートナーシップとして、夫の姿勢としてよいと思った事例
    • 今日何があったのか傾聴する、褒める。お昼休みに電話したりして「よく午前乗り切ったね」と言葉にして伝える。
  • うつ病と無縁だったのに産後うつになる人の共通パターン
    • (自分の求めている)サポートがない場合
      • 身体的なサポートではなく、精神的なサポートが足りない(子育てを頑張っていることを認める言葉、達成感を感じさせる)  

シンポジスト3:泣いている赤ちゃんにどうしたらいいの?

  • 赤ちゃんの”泣き”の生理について。
  • 小児科の教科書(Nelson)では、どの時期に泣くかは世界共通。泣きのピークは生後6週頃、夕方から夜にかけてが多い。3〜5ヶ月程度持続する
  • 何もなくても激しく泣く疝痛(せんつう),Colicについて。
    • 痛がっているような激しい泣きだが、正常な乳児にみられる(正常=空腹やおむつ、発熱、怪我などのチェックをしたが何も原因が見当たらない場合という意味)
    • 生後2ヶ月ころから始まり、乳児の20%にみられる。
    • 泣き始めると2時間くらい継続する。

(補足) 疝痛の原因はまだ仮説の域ではっきりとは分かっていないようです。消化管の反応という説や、下記のように「子宮内の一定の音と刺激を恋しがっているから」という説もあるようです。 www.stellamate-clinic.org

  • その他気をつけておくポイント
    • 尿路感染症
    • 鼠径ヘルニア
    • ターニケット(髪の毛が指に巻き付いている)
  • 泣きへの対策
    • ミルクをあげる。時間を決めた定期的な授乳により乳児のストレスが減る
    • おむつを替える
    • 抱っこをする
    • おくるみで包む
    • ビニールをくしゃくしゃする
    • 抱っこして歩く。乳児の心拍数が低下して泣きが減ることがある

(補足) 哺乳類の「輸送反応」について www.riken.jp

  • 赤ちゃんをあやしたのに泣き止まないと、親は自分のせいなんだという自責につながってしまう。様々な点をチェックしたのに原因が分からない場合は、疝痛のときもあるので、いったん様子見をする勇気も必要。
    • (補足)疝痛と判断した場合の対処を質問しましたが、子どもをベッドに泣かせていったん離れ、30分ごとに様子を確認するなどのルール決めをすると親のストレスも低減できるのでよいとのことです。  
子どもをあやすときの注意事項
  • あやしているのに泣き止まない子どもを何とか泣き止まそうとして前後に揺すってしまうと、「揺すぶられっこ症候群」になる。
  • 子どもの脳は、大人に比べて頭蓋内で安定していないため、強く頭が前後に振られると中の脳が移動し、血管が断絶したりしてしまう。
  • 可能な限り調べても異常がない場合は、無理に泣き止まそうとするのではなく、その場を離れても問題ないと判断。

(補足) その他の乳幼児の泣きについての参考記事

www.ikomaiin.com

www.mhlw.go.jp

まとめ

アタッチメント理論や産後うつの確率、疝痛、 揺すぶられっこ症候群など知らないことが多かったので行ってよかったです。まだ子どもはいないですが、引き続き勉強していきたいと思います。

閾値モデルの紹介とか

「明日の開発カンファレンス2019」で、10年近く続いている社内の改善活動についての発表をするのですが、登壇資料を公開できないので、せめて一般的な内容である、後半の「閾値モデル」についてブログに書いてみます。

出典は大学の研究室での課題図書だったリンク先の本になります。進化生物学の観点から社会心理学を捉えており、とても面白い本なので、今回の記事で興味を持たれた方はぜひ手にとってみてください。

複雑さに挑む社会心理学  改訂版--適応エージェントとしての人間 (有斐閣アルマ)

複雑さに挑む社会心理学 改訂版--適応エージェントとしての人間 (有斐閣アルマ)

 

マイクロ-マクロ関係

閾値モデルの前に、まずは社会心理学のキーワードである「マイクロ-マクロ関係」についての説明です。これは個人というマイクロな存在と、自分の所属する集団・社会というマクロな存在とが循環的なダイナミクスを取るという内容です。

ここでポイントになるのは、自分自身も集団の一部であるため、相互作用は1回だけではなく、ぐるぐる循環するという点です。書籍の中では、例として「裸の王様」が挙げられており、自らが周囲の沈黙に応じて沈黙することが、今度は周囲をよりいっそう沈黙させるという循環的ダイナミクスがあると書かれています。

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マイクロ-マクロ関係

マイクロ-マクロ関係については、下記のブログが参考になるかと思います。

diamd.hateblo.jp

 

閾値モデル

それでは、次に本題の「閾値モデル」の紹介になります。

これは社会学者であるマーク・グラノヴェッターが1978年に提唱した集団行動に関する理論で、後続の流行や暴動の拡大・縮小の研究に大きな影響を与えたモデルになります。 

その内容を簡単に書くと下記となります。

  • 各個人は行動を取る、取らないの選択肢を持つ。
  • その意思決定の際には「周囲の何割の人もその行動をしているか」という、集団内での行動の割合が影響する。
  • 各個人は、その行動の割合に対して一定の基準値(=閾値)を持っており、それは個人ごとに異なる。つまり、少数の人しか行動していなくても自分も行動するという人もいれば、大多数の人が行動しないと自分も行動しないという人もいる。
  • 集団行動が拡大するか収束するかは、最初に行動を取る人数(=初期値)により決まる。ここではマイクロ-マクロ関係による循環的ダイナミクスが発生している。
100頭のシマウマの群れの例

書籍の中では閾値モデルの例として、100頭のシマウマの群れがあり、個々のシマウマがライオンの気配に気づいて走り出すというシチュエーションが語られています。最初に走り出すのは閾値の高い低いがランダムに選別されたシマウマだとしても、それ以降の動きは閾値モデルによって当てはめて考えられるとしています。

まず各シマウマごとに、周りの何頭が走り出したときに自分も走り出すという閾値は異なるものですが、それをプロットすると下記のような分布になるとします。

図内でも記載していますが、「4割の閾値のシマウマが20%いる」とは、「周りの40頭が走ると自分も走るシマウマが20頭いる」ということを示しています。グラフの左にいくほど「すぐに走り出す高感度シマウマ」、右にいくほど「全然走り出さない低感度シマウマ」であるということになります。

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この分布図は各閾値の頭数をピンポイントでプロットしたものなので、周囲の影響を受けて走り出すシーンで考える際は、X割以下の頭数の総和という累積比率で考える必要があります。

最初に走り出したのが40頭の場合

例えば、最初に40頭が走り出した場合、影響を受けるのは閾値が4割以下のシマウマになるので、次に走り出すのは累積値の71頭になります。※今回の仮定の場合、閾値1割が5頭、閾値2割が13頭、閾値3割が33頭、閾値4割が20頭なので、5+13+33+20=71になる。

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この「閾値の累積比率」をそれぞれ算出して、グラフにしてみると下記になります。 

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次に、40頭のシマウマが走り出した場合、次に71頭が走り出すので、71頭が走り出した場合、閾値の7.1割以下のシマウマが走り出す、その次に、、というドミノ的プロセスが発生します。このシチュエーションでは、最終的に群れの全シマウマが走り出すことになります。それを図示してみると下記のようになります。

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最初に走り出したのが20頭の場合

別のパターンとして、最初に走り出したのが20頭だった場合を「閾値の累積比率」に当てはめてみます。この場合のダイナミクスは下記のようになり、最終的に群れ全体が止まる結果になります。※閾値2割以下の頭数は18頭になるので、走り出す頭数がどんどん減る。

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まとめ

閾値モデルの紹介を書きましたが、内容をまとめると下記となります。

  • 個人が行動を起こす際に影響を与える閾値については、個人差が存在する。※周りの人の影響をどれくらい受けるかは個人で異なる。
  • 集団においては、他者の行動に影響された自分の行動が、今度は他者の行動に影響を及ぼすという循環的ダイナミクスが存在する。
  • 循環的ダイナミクスが拡大するか縮小するかは初期値に依存する。

注意点として、このモデルはあくまでも数理的モデルになるので、現実世界にそのまま適用できるわけではないです。例えば、影響発信源の影響力や時間的、空間的な近さなどは考慮されていません。※これらの要素については「社会インパクト理論」で語られています(Latane&Wolf,1981)

そのまま適用できるだけではないですが、社会心理学の「マイクロ-マクロ関係」を端的に説明するモデルとしてとても面白いものだと考えていますので、集団行動について考える際に少しでも参考になれば幸いです。

補足1

有名なTEDの動画では2人目のフォロワーの重要性が語られていますが、これもマイクロ-マクロ関係、閾値モデルの例としてとても面白いと思います。

www.ted.com

補足2

「明日の開発カンファレンス2019」で聴いていただいた方に向け、資料の内容を再掲します。

集団行動においては、「行動を起こすのに閾値がある」「活動の拡大・縮小は初期の人数で決まる」ことから、改善活動を続けていくためには下記を意識するとよいのかもしれません。内発的動機の促進なども重要ですが、閾値モデル目線で絞っています。

  • 改善活動をはじめる際は、はじめに高い目標を掲げるのではなく、みんなが共通して困っていることから取り掛かり、実績をつくり徐々に改善活動を広めていく。※行動の閾値を下げる。
  • 「周りも活動している」という認知が生まれるための仕組み(初期から複数のグループをつくる。活動報告ルール)も合わせて実現していく
  • グループ内のメンバー間の相互作用、グループ間の相互作用といった、多層的な観点でも考えてみる。 

情報収集の仕組みや考え方について

自分が実施している情報収集の仕組みや考え方についてまとめてみたので共有します。日々の情報収集は、おおよそ社内/社外勉強会への参加と、本記事で記載の仕組みで実施しています。
※読まないとな〜と思いつつ、あまり本は読んでいない。
 
【仕組みの概要】
情報収集について、情報のフロー(流れ)とストック(蓄積)の2つの観点でWebサービスを活用している。
【仕組みの詳細】
  • フローは個人SlackやFacebookTechFeed、Webサイトなど様々あるがストックについてはPocketに一元化している。
  • サービスの選定は、色々な端末から見れるように、ローカルではなくWebサービスであることが基準。
  • プライベートでSlackを利用しており、ぼっちアカウントを作成(個人Slack)して情報収集に活用。
  • 個人Slackには、様々なブログのRSSTwitterアカウントを登録しているが、Publickeyと小島英揮さん、マイクロソフト牛尾さんのブログがオススメ。あとは自社のRSSも登録。
  • Facebookは社外勉強会で知り合った方々に友達申請しておりその方がシェアしているURLなどをチェック。面白い記事はPocketに保存。
  • TechFeedはテクノロジー特化のキュレーションサービス。かなりオススメで、これだけでも使って欲しい。Pocketのアカウントを連携しておくと、「あとで読む」ボタンを押せばPocketに保存される。
  • 自分の使う全てのWebブラウザには、「Pocketに保存」のボタンを付けている。
  • Pocketの検索機能は無料版でもタイトルのみ可能。有料版は本文も検索可能だが、タグ機能でしのいでいる。
 
個人Slackは下記を参照のこと。ちなみに記事で言及されているモヒカンSlackにも入っています。

 その他の情報収集としては技術ブログのQiitaを眺めたり、インフラ勉強会のコミュニティに参加したり。

 
 【情報収集の時間の考え方】
  • 勤務時間の10%(およそ週4時間)までは自案件以外に使うこととしている。情報収集や情報発信、部署のワーキング活動やセミナー参加など。
  • 社外勉強会の参加は19:00〜などの定時後が多いが、それは上記のカウント外としている。
  • 下記のマイクロソフト牛尾さんのブログで「強制的に定時に帰ることが生み出す効果」があるが、定時後に社外勉強会を入れるのは、その観点でも実施している。

 

【情報収集の際に心がけていること】
  • 勉強会・セミナーでの情報収集の場合は、必ず講師の人に質問(=広義のアウトプット)をして、フィードバックループを回すようにしている。
  • 情報の本質・エッセンスを抽出して抽象化・構造化する。そして既知の抽象化された概念と比較。詳細は下記を参照。※毎回出来ているわけではないですが、、

  • 自分の興味があることから「落下傘方式」で調べていく(興味がないと辛いだけ)。詳細は下記を参照。

  • 自分なりの軸、フレームワーク(2元論や4象限)に情報をマッピングする。上記の落下傘方式だけだと、単体の「点」となり忘れてしまうため、構造化したフレームや既存の情報と繋げて「樹形図を作る」イメージ。
  • 最近の軸は「価値創出」、「ハードウェアとソフトウェアの2元論」と、小島英揮さんの「不可避な流れ」(下記の6ページ目の図)
 
「価値創出」の例として、プロジェクトマネジメントのPMIでは、QCDだけではプロジェクト成功ではなく、いかにBenefitを達成するかという、BRM(Benefits Realization Management)を提唱していますが、これはコンテナやサーバレスアーキテクチャにより、インフラの抽象化をして、よりアプリケーション(=ユーザが使うもの)に注力する、という流れと共通点があるのではと捉えています。
 
上記の共通点は、「いかに価値創出するか」という考えに集約できるのではと考えています。
※仕事は何らかの価値を生むためだろう、という当たり前のことに自分の中で行き着いた形。
 
また、ユーザのニーズを捉えるためのデザイン思考やアジャイル開発の勃興も、最終的には価値を生むためという考え方から逆算して捉えると理解しやすそうだと思っています。
 
※PMIのBRMについてはアニュアルレポート2016のP18をご参照下さい。

Annual Report|トピックス|一般社団法人 PMI日本支部

DevLOVEの「立ち上がれ!情シスレジスタンス 〜ValueFactoryの歩み〜」に参加しました(2018/05/17)

木曜(5/17)のことですが、DevLOVEというイベントで、DNP情報システムさんの組織横断の取り組みである「ValueFactory」についてのお話を聞いてきました。
情報システム子会社という保守的な文化になりがちな組織から、どのようにして組織横断の取り組みが生まれたかという話。

devlove.doorkeeper.jp

寳田さんの発表資料

www.slideshare.net

 

寳田さんの「エンジニアの流儀を通すこと」「この世界の未来に貢献すること」という自分なりの旗を立てるというエピソード、経営陣の方たちの「はじめての現場からの提案だから潰す訳にはいかない」という想いがあったというエピソードにグッと来ました。
てか、ちょっと泣きそうになった。

最近DevLOVEによく顔を出しているのもあり公式ページを見ていたのですが、旗を立てるというのはDevLOVE2011の4tate(帆立て)と同じ自分自身への宣言なのだと思う。

www.devlove.org

黒崎さんの正常性バイアスと同調性バイアスの話については、大学で社会心理学をやってたのもあってそうだよなっていう納得感もありましたし、「会社と自分」の捉え方が変わったというエピソードも色々な社外勉強会に行っているのもあり、とても共感出来ました。
会社に所属している自分という感覚ではなく、まず自分があり、その自分が所属している会社という関係性というか。

また、若手の頃の仕事に希望が満ち溢れて楽しいと思っている自分にも参加を勧めたいという話が良かったです。若手の頃はある意味「与えられた現状の中での幸せ」だけども、「自分で幸せをつかむ考え方・力を持っていないことは不幸だ」とメッセージだったと受け取りました。

今回のイベントは最近自分の中で何となくまとまりかけていた考え(旗立てや会社と自分の関係性)と共感する部分が多く、とても刺激になりました。
自分なりの旗を作って立てたいと思いました。

PMI日本支部セミナー:抵抗勢力との向き合い方〜働き方改革、業務改革を阻む最大の壁を乗り越える〜(2018/04/13)

PMI日本支部の2018年4月の月例セミナーの参加メモです。
概要は下記で、講師はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社の榊巻 亮さん。

総評

全般として通じるメッセージとしては、「推進側は自分達が正しい(≒官軍)だと思いがちだが、そうではなく抵抗する人にも理由があり、いかに協力体制を築くか」というものでした。
 
要旨は日経XTECHに記事になっています。
 

セミナーで面白かった点や気になった点など

  • 変革を伴うプロジェクトは100%何らかの抵抗にあうものという前提に立つべき。
  • 変革に必要なのは、企画の質と態勢の質だが、前者はみんな気にするが後者はあまり意識されない。その企画に関わる人達の気持ちが自分ゴトになっているか。→話を聞いていて、立ち上げ期の「変革チーム」で一体感を持つためには、インセプションデッキを作るのがよいのかなと。なぜ自分達がそれをやるのかの腹落ちを生みやすそう。インセプションデッキ事例 // Speaker Deck
  • トップ層が「プロジェクトゴールを渡すけど、メンバーで本気で揉んだのならゴールは変わってもいいよ」が望ましい。
  • 推進側は積極的にこれまでの経緯や背景・想いを共有する。密度が濃い推進メンバーは自分たちが知っているから「他の人も分かっている」と思いがちだが、経緯を知らない他メンバーは知らないことによる疎外感を感じる。「背景/経緯」はとても大事であり、なぜそうなったのかの意思決定のプロセスを明文化して推進チームのやってきたことを追体験できるようにする。
  • あとから参加する関係者が感じることは、立ち上げ期にPJメンバーが抱えていた悩みと同じであり「検討の経緯を追体験してもらう」「根っこの考え方をきちんと説明する」そのため、立ち上げ期にしっかりモヤモヤしてきた経験がないと、何も伝わらない。
  • 日経XTECHの記事にも書いてるが、相手の抵抗は問題点を書き出すことで見える化して、変革派vs抵抗派という対立構図から、変革派&抵抗派vs問題点という共通の敵を倒そうという構図に変えてしまう。
  • 強い抵抗を受けるのは「目指す姿のズレ」と「進め方のズレ」がある。目指す姿がズレるのは、そもそもの現状の認識がズレていることが多い。見ているFACT、見ている範囲、見ている時間軸を一致させて話をする。進め方のズレは相手の言っている方法に手間がかからなさそうなら乗っかる。問題が起きたときに「だから言ったんだ」の防止。または相手に意見を出して貰う形で一緒に練り直す。
  • 態勢の質を上げることが結果的に企画の質を高めることになる。指摘を取り込んでいくことでよりブラッシュアップさせられる。
  • 他部門のメンバーと利害関係がある場合にどう巻き込むか。メリットを沢山言うのではなく、「デメリットはないよ」を上手く伝える。行動経済学プロスペクト理論:同じ絶対値のメリットとデメリットの場合、デメリットを重く見る。デメリット2種類ある。「変化することによるデメリット」「変化しないことによるデメリット」
 
「推進側は自分達が正しい(≒官軍)だと思いがち」というのは、確かにそうだよな〜と納得感が強かったです。また、最近読んだ『カイゼンジャーニー』で出てきたインセプションデッキが抵抗勢力への説明にも使えそうな気もしたのでもっと調べてみようと思います。

ネットワークのソフトウェア化に関する各標準化団体での検討状況(2018/02/05)

Qiitaに書いていたのですが、はてなにまとめようと考えてこちらにも書きます。今後のセミナー報告とかはこちらにまとめていくつもり。

ISOC-JP/TTC共催セミナーである「ネットワークのソフトウェア化に関する各標準化団体での検討状況」を受講してのレポートです。セミナーの内容そのものよりも、ネットワークのソフトウェア化という文脈に対する考察が多いです。
http://www.ttc.or.jp/j/info/topics/rep20180205/

ISOC-JPInternet Society (ISOC)の日本支部
TTC一般社団法人情報通信技術委員会

 

総評

セミナーでは5G通信のネタが多め。また要素技術の標準化に関する内容が多く実案件に直接繋がる話は少なめでした。

 

ネットワークのソフトウェア化について

懇親会での会話や各種勉強会を出ている中での自分なりの解釈からなぜネットワークのソフトウェア化が言われているのか?をまとめてみます。実際に下記の流れでNW構築がうまくいっている事例があるかは知りたいところ。

  • 市場環境や顧客ニーズなどの「素早い変化」に如何にして対応するかが重要視されており、ソフトウェア開発はアジャイルやリーン開発でその変化に対応している。SoE(System of Engagement。ジェフェリー・ムーアが2011年に言及)などの概念も出てきている。
  • インフラ開発でもInfrastructure as Codeといった形で、ソフトウェア開発の手法を取り入れてより早くインフラ環境を変化させる動きが出てきている。パブリッククラウドも、ハードウェア資産を持たなくてよいという他に、調達期間の削減というメリットにより受け入れられたという側面がある(※1)
  • ネットワークのソフトウェア化も、上記の素早い変化への対応という流れから起きている。またソフトウェア化により、大量のデータを取得して活用しようというデータドリブン志向もあると考えられる。

※1:パブリッククラウドの利点について、別のセミナーでカシオのIT部門の大熊部長と話したところ、「調達期間の劇的な短縮」「ハードウェアのイニシャル投資の削減」「勝手に進化するインフラ」があるとのこと。3番目の利点は、NW-JAWSのセミナーでSORACOMの人も言っていた。

懇親会で東大の中尾教授から聞いた話

  • 東大発ベンチャー総務省と組んで無線基地局をほぼソフトウェアで作って、実際にパケットを流している。1ヶ月くらいで認可が降りたがこれは異例のスピード。
  • 無線基地局はほぼソフトウェア化してるので、様々なデータが取得できる。構想していたことの成功例としてSORACOMを挙げていた。
  • NWを用いた価値創出の方法の一つとして、ネットワークを通る大量のデータをもとにした機械学習での分析が挙げられる。CiscoDNAも機械学習を取り入れているのがポイントだったはず。「通信の秘密」の観点で大丈夫か気になるが。
  • 東大ではソフトウェア化/機械学習への対応としてPythonを大学の講義に追加した。
  • 5G通信ではよくスライスという表現がされるが、東大ではスライスではなくソフトウェア化という表現に変えている。

セミナーで面白かった点や気になった点

  • ITU(国際電気通信連合。国連の組織)ではNWの仮想化の実装方式だけでなく、NWのソフトウェア化後のビジネスモデルや運用についても検討されている
  • IETFでbess(bgp enabled services)という付加情報をBGPに載せるための手法が検討されている。BGP Flowspecと同じイメージ?※BGP関連ではNTT発OSSとしてGoBGPがあり、ソフトウェアによる制御を前提とした設計を採用している。GoBGPはコンテナ技術のDockerのNW制御で使えたりする。
  • 5G通信のスライスの実装はNFVで実現する模様。NW専用機器を高性能汎用サーバに置き換える思想。つまり、ベンダーロックインの回避を狙っている。※OpenFlowの二の舞いになるかも?
  • ヨーロッパでは国をまたいだスライスの運用管理も想定しており、標準化は要検討事項。
  • スライスはライフサイクルをどうするかが課題としてあり、AIと組み合わせることが検討されている。
  • ITUで、「5Gを含む将来網のための機械学習」を検討するFocusGroupが2017/11に設立。http://www.ttc.or.jp/maedablog/2017/2017-11-16/

 

上記のように、ネットワークにおいてもソフトウェア化の検討が進んでいます。